「口は災いの元」
舞台中央に桂が一人立っており、銀時、高杉の二人は桂の正面(下手側)に正座している。
桂は手に抜き身を持っており、銀時はそわそわしながら、高杉はじっとそれを見つめている。
桂「銀時、晋助、そこへなおれ!」
名を呼ばれてびくつく銀時。
高杉はじっと切っ先を見たまま、桂の方も銀時も見ない。
銀「ちょ、落ち着け。まずは刀をおけ、な?」
必死で桂をなだめようとする銀時。
思わず立ち上がりかけ、中腰になるが、
桂に切っ先を向けられて思いとどまる。
高杉は無言、身じろぎもしない。
桂「これが落ち着いておられるか!貴様ら揃いも揃って大莫迦どもが!」
激高して声を張り上げる桂。銀時は身を竦め、高杉は相変わらず無表情。
銀「莫迦はおめぇの専売特許でしょ?」
晋「ちげぇねぇなぁ」
桂「黙れ!貴様らがどれくらい救いようのない莫迦か、おれが今から証明してやるわ」
銀「それでなんで刀抜くの!」
晋「(独白)莫迦のやることはわからねぇ」
桂「今から二人仲良くあの世に送ってやる」
銀「なんでそうなるわけ!?」
晋「(独白)莫迦の言うこともわからねぇ」
桂「解らんのか?なら、教えてやろう」
尊大に構える桂。
高杉は銀時に気を取られている桂に気取られぬよう、吐き捨てるようなそぶりを見せる。
銀「ちょ、なんか偉そうなんですけどこの人」
桂「きーわーどは、地獄、先生、よろしく、の3つだ」
高杉だけぎょっとしたような様子を見せる。
それに気づいた銀時が不思議そうに高杉の方を見るが、高杉は銀時からも桂からも目をそらしている。
銀「なにそれ!三題噺のお題かなんかですか、このやろー?」
高杉がわずかに居心地悪そうに身動きをする。銀時、また高杉を不思議そうに見る。
銀「高杉、いつもよりちょっと顔色悪くね?なんか心当たりあるわけ?」
晋「…てめぇの鈍さが羨ましいぜ、銀時」
銀「え、おれ?おれが?鈍いってのもヅラのためにあるような言葉じゃなくね?」
桂「さて、これで貴様らの莫迦がきっちり証明されたわけだな」
銀「待て待て待て!どこが、どこらへんが証明になってんの?ぜんっぜんわからねぇんですけど!」
晋「だからてめぇは莫迦なんだ、銀時」
銀「てめ、さっきからむかつくんだよ!」
晋「今更何言ってやがる。おれは昔っからてめぇらにむかついてたぜ?」
高杉、せせら笑うように言うが、どことなく覇気がない。
銀「ちょ、ヅラ、こいつにこんなこと言わせておいていいのかよ?」
桂「貴様、ついこの前もっととんでもないことを言っておいて何を言うか」
銀「は?」
晋「(独白)やっぱそうきやがるか……」
桂「貴様らが私怨で悪党の一人や二人切り捨てようが捨て置くところだがな、先生のこととなると話は別だ」
銀「えーっと、それは……?」
桂「なんでも、地獄に落ちろだの、行けだのとほざいたそうだな?」
銀「ちげぇよ、おれが言ったのは地獄に……」
桂「そんなことはどうでもいい」
銀「どうでもいいのかよ!なら言うんじゃねぇよ」
桂「だがな、『先生によろしく云々』が続くのは全然よろしくないぞ?」
銀時、はじめてしまった!というような表情を見せ、逃げ場がないかと周囲を見渡す。
桂「貴様ら、先生が地獄にいらっしゃるとでも?」
銀「いや……それはその…つい口が滑ったっつーか…」
晋「……………………」
桂「おれが今から貴様らを地獄に送り込んでやるから、その目でちゃんと先生がいらっしゃらないことを確認してこい!」
銀「無理無理無理無理、確認できても戻ってこれねぇから!」
桂「問答無用!戻って来なくてもよいわ!」
銀・晋「うぎゃ〜〜〜〜!」
銀時、高杉の悲鳴が響く中暗転。
今回の長編について、某管理人さんと話をしていて浮かんできたアホ話。
ちなみにコミック派なので私奴はまだ未読です。