「THE OEDO」中
「おや、なんでみんな屋根の上に居るんだい?どうして突然場面が変わったんだろうね?」
「そうですわね、なんだか不自然な場面展開ですわね」
「あれじゃないか、小太郎が自分の都合の悪いシーンなんかをカットしたんじゃないのかねぇ」
「都合が悪いって、どんなシーンですの?」
「や、例えばだよ、真選組の人を斬っちゃったりとか」
「そんなことがあれば大ニュースになってますわよ!そもそもTVで放映されたりしませんわ。お蔵入りしてしまいますわよ」
「あー、じゃ、恥ずかしいことを言ったりとか」
「あなた、普段どんな番組見てらっしゃるの?小太郎ちゃんがどんな恥ずかしいことを言ったりしたりすると言うんですか!」
「する、とは言ってないじゃないか。例えばの話だよ、例えば。あ、ほら見てご覧!」
「あなたはご自分の都合が悪くなるとそうやってすぐ誤魔化し…あら、あらあら!」
「まさかいい年をしてピンポンダッシュでもするつもりじゃあ?」
「いくらなんでもそれはないですわ。前に一人逃げ遅れた晋助ちゃんが大泣きした時、先に逃げおおせた銀時君と小太郎の二人まとめてこっぴどく叱ってやりましたから。懲りてるはずですわ」
「しかし、小太郎もしぶといというか、しつこいといか執念深いと言うか、いつまで押す気だい、あれ。本当に中に人がいたら怒られてしまうよ。あ、あ!ほら、言わんこっちゃない!!」
「キャーッ!扉が小太郎ちゃんに!!」
「随分とまた手荒い歓迎だねぇ…ああ、なんだ銀時君だよ。どうりで荒っぽい。彼も変わってないねぇ。一目で判るよ」
「…寿命が縮まるかと思いましたわ。相変わらず小太郎ちゃんは銀時君には何をされても平然としてますのね」
「けど、あんなところに顔を挟めて、痛くないのかねぇ?」
「痛くないんじゃありません?小太郎ちゃん、なんだか楽しそうじゃありませんか」
「顔が映ってないのによくわかるね」
「ああら、わたしはあの子の母親ですのよ?これくらい当たり前ですわ」
「おや、随分と可愛いらしい子が出て来たよ。誰だろうね一体?」
「銀時君の娘さん?…にしては大きすぎですわね?」
「幾つの時の子だね?おやおや小太郎から”んまい棒”を取り上げるとは、若いのになかなか遣り手みたいだよ、あの子。将来、大物になりそうだ」
「あら、今度は眼鏡の坊や」
「…彼も平気で小太郎と話をしているね。指名手配犯が怖くないのかね」
「そもそも頭で扉を突き破ってる大人を見て平然と挨拶が出来るんですもの、大丈夫なんじゃありません?」
「…だね、随分馴染んでるようだね、小太郎に」
「きっと、小太郎ちゃんはよく銀時君のお家に押しかけてるんですわ。あの子は昔から何かあると『銀時、銀時』でしたからね。あ!でも、銀時君が出てくる位なら、晋助ちゃんも出るんじゃありません?高杉さんの奥さんもお呼びすればよかったかしら?」
「や、おまえ、晋助君は今や泣く子も黙る過激派らしいからね。TV出演は拙いんじゃないか?」
「そうですってねぇ。過激派なんですってね。あの晋助ちゃんがねぇ…わたし、まだ信じられませんのよ」
「そうだねぇ。ある意味小さい頃から小太郎の方が過激派だったからねぇ。晋助君はなんていうか…普通のお利口な少年だったよ」
「三人の中では確かにそうでしたわね」
「人間、どうなるか判ったもんじゃないね」
「ええ。晋助ちゃんはちっちゃい時から我慢強くて、どんな立派なお侍になるかとそりゃぁみんなで楽しみにしてたましたのに」
「それがねぇ…今ではテロリストとはねぇ…」
「おしめが濡れても泣かずにグッと我慢してた姿なんて、思い出すだけで涙が出そうになりますわ。本当にちっちゃな時から辛抱強い健気な子で」
「おまえ、そういうことを外では言わない方がいいよ…。鬼兵隊とやらに口封じされても知らないよ?」
「また悪い冗談をおっしゃいますこと。晋助ちゃんがそんなことするわけないでしょう?あの子のおしめ、わたし何回変えてあげたことか。お父様に叱られて家を飛び出す度に匿ったのはわたしですのよ?
家に銀時君と泊まりに来たときに、雷が怖いって言うから一緒に寝てあげたのもわたしですし、転んで破いてしまった着物をお母様に見つからないようこっそり繕ってあげたのもそうですわ…それから…」
「あー、わかったわかったからその辺で止めておきなさい。でもね、高杉さんちの奥さんをお呼びするかどうかは最後まで見てから決めればいいんじゃないかね?もし晋助君が出てたらお呼びするとか、これをお貸しすればいいよ」
「…それもそうですわね…あなたもたまには良いことを仰いますこと」
「あ…たまには…かね…」
「ああら、見て下さいな。またあの真選組の可愛い男の子が」
「なんでそんなに嬉しそうなんだい?小太郎の心配をしなくていいのかい?」
「小太郎ちゃんになにかあったらそもそもこんなDVDを送ってくれるわけないでしょう?それこそ大ニュースになってますわ。あなたひょっとして”水曜スペシャル川○浩探検隊”に胸躍らせてたタイプではなくって?」
「(なんでわかったんだろう…)」
to be continued…
まさかの三部作(滝汗)
そして一体誰が川○浩探検隊など知ってるんだろう?