心契 その20

充分に解された桂の後ろの孔に、銀時の先端が押し付けられた。
それがたとえようもなく、熱い。
桂の足を胸の方に押さえつけている手も、触れる肌も、銀時の何もかもが熱かった。

先程までとは比較にならない大きな熱の塊が、桂の中へゆっくりと入ってくる。
「うっ…つ…」
苦痛に喘ぐ桂の額にはしっとりと脂汗が滲み始めた。
あまりの辛さと引き裂かれそうな予感に腰が引けそうになるが、銀時ががっちりと掴んでいるので逃れることは出来ない。
「心配すんなっても無理だろうけどよ、ゆっくりいくから、な…?」
ほんの少しずつ襞を広げていくそこを、言葉通りの我慢強さで銀時はじわじわと押し広げていくように侵入を続けた。
「ヅラぁ、息止めんなよ、力は抜いとけ」
「無…理…を、い…うなぁっっ!!」
激しい圧迫感と焼け付くような痛みを逃そうと、桂は必死で喘いでいる。
額からだけでなく、今や全身からも汗が滲みだし、珠になってぽろりぽろりとその肌を滑り落ちていく。
それを目にしている銀時の方も必死だ。
すぐにでも桂の身体に楔を打ち込み、思うさま蹂躙したいと逸る気持ちを押し殺し、猛る自身を僅かずつ挿入していくのは体力はもとより精神力をも要した。
銀時もまた全身を汗にまみれさせ、歯を食いしばって耐え続けていた。

「あ…いあっ…っつぅ!」
「頑張れ、ヅラ。もうけっこう入ったぜ」
「や、…も言、う…なぁ…っ…!」
相当辛いのだろう、いつの間にか桂のきつく閉じられた両の目尻から耳の方へ止めどなく涙が流れている。
桂のものも痛みの為にすっかり萎えきっていた。
銀時は桂の足を身体全体で胸に押しつけながら片方の手をなんとか空けると、その手を使って桂のものをまたあやしてやる。
「あ…っ…ふ…うっ…あ」
新たに与えられ始めた快感に気が紛れ始めると、桂の口からは苦痛だけでない嬌声混じりの声が上がり始めた。
それに安心した銀時が、手の動きを早めてくる。その動きにつられるように嬌声が段々大きく頻繁に上がり始めると、その内襞も熱く燃え滾るように蠢いた。
ここぞとばかりに、銀時がグッと身体を強く桂の方に押しつけると、にちゅっという音を立てて、銀時の全てが桂の体内に収まった。
「おい、大丈夫か、ヅラぁ。もう全部入っちまったぞ、おい!」
「そ…うか…良かっ…た」
そう言うと桂は苦痛に耐えながらもホッとしたようにめったにない柔らかな微笑を浮かべる。
その笑みに煽られ、銀時のなけなしの理性が飛びそうになる。それと同時に全身に襲いかかってきた激しい射精感をなんとかやり過ごしながら、銀時はゆっくりと自身を出来るだけ引きずり出した。
「あああっ…や、あっああっ!動…くなぁっ!」
前触れもなく与えられた刺激に桂が悲鳴を上げた。その声は紛れもなく悦びの滲む嬌声で、銀時の劣情を更に煽る。
「ヅラ君、気持ちよさそうね、そんなにおれのここ気持ちいい?」
銀時は桂の中を確かめるようにじわじわと掻き回す。
絡みついてくる内襞の熱さに追い立てられるようにして、銀時は今度は抽送を繰り返すことで桂を責め始める。
「銀時!…ぅあっ…やめっ…!!」
「やっぱおめぇ可愛いすぎ」
そう言う己の声があまりにも切羽詰まったモノに聞こえて、銀時は場違いにも笑い出したくなった。

「馬…鹿を言、うなぁぁ!ああっ!」
無駄に強気なところを見せるのがたまらなく愛おしくて、銀時の動きがつい激しくなる。
乱暴な性急さで桂の奥深くまで突き立て、激しく揺さぶり出す。

「いった…っ…んっ…はぁっ…く…」
結合部は痛くてたまらないというのに、身体の奥深くからじんわりと広がってくるのは紛れもない快感で、痛みを伴ってなお痺れるような甘い感覚が桂に与えられ続ける。
「やっ…めっ…ああっ…い、い…っ、あぅ…もう…おかし…くなる…銀時ぃ!!」
啜り泣きながらも桂がその細い腰を揺らめかせ、貪欲に銀時を求め始めた。
苦痛と快感に同時に苛まれ、全身を朱に染めた痩身を揺らしての媚態に、銀時は体中の血が沸き立つような凶暴な衝動に襲われる。
その衝動に抗おうともせず素直に屈することを選んだ銀時は、ひたすら桂の最奥を責め続けた。
「ヅラぁ、煽りやがッたおめぇが悪いんだかんな」
「うあぁぁぁぁーーーーーっ、ああっ、はぁ…やっ…やめ…!」
「ばっ、そん…な締めつけ、ん…な」
「あ、も…無理…だ…やめ…て…くれっ…ぅあ…んんっ!」
限界を迎えそうになった銀時が、ひときわ深く桂の奥を抉るように楔を穿つと、桂は高い声を上げて全身を振るわせながら果てた。
「…やっべ……おれ…もここまでみてぇ」
ぐったりとなった桂の足をそれでもなお全身で押さえつけながら、銀時もまた頽れるように果てた。


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