「ヘレボルス・ニゲル余話」
「てか、神楽。おれがなくすかもしれない大事なものってなんだ?」
「んだよ、そんなこと気にしてたのかヨ」
「気にするように言ったの神楽ちゃんだよね!確信犯だったよね?」
「…あんま考えてなかったアル」
「嘘なの、思いっきり捏造なの?」
「銀ちゃんをその気にさせてやるってヅラに約束したネ」
「くそう、ひっかかったおれが莫迦みてぇじゃねぇか」
「ひっかかったんですか、あんた。そんな適当な嘘に騙されて、そんな恰好させられたんですか」
「そうだよー、引っかかる方が悪いネ」
「なに、その盗人たけだけしい言い分!」
「そもそも、なにか疚しいこととか、身に覚えがあるから簡単に騙されたんじゃないんですか?」
「るせーよ」
図星だったみたいアル、と神楽が笑い、新八も笑い出す。
まぁ、いいじゃねぇか。
心臓に悪い嘘でも、終わりよければ全てよしってな。
「でも…」
「まだなんかあるのか、神楽。もうおめぇの言うことなんざ金輪際信じねぇかんな!」
「サンタをやるってヅラに聞いた時”リアリティに欠けるね。おまえがやると、ただのコスプレになるアル”って言ったらちょっと悩んでたみたいアル」
「確かに、桂さんにはいまいち似合わないかもね」
「だから…ひょっとしたらサンタになりきるために、あのうざったい長髪くらいなら切ったかもしれないかも…って思っただけアル。な、銀ちゃん?」
そう言って、神楽ちゃんは銀さんを見てにやりと笑った。
思い切り人の悪い顔をして。
銀さんはゾッとしたような表情を浮かべ、神楽ちゃんは素知らぬ顔でこう続けた。
「満更嘘じゃなかったかもしれないアルな」、と。
願わくば
罪深きわれらを許したまえ
アーメン
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